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2008.01.27

シンポジウム「平和の新時代へ向けて」(二日目)

1月26日(土)

東京外国語大学「平和構築・紛争予防講座」主催の国際シンポジウムの
2日目。
2番目のセッションは「紛争を生み出す原因と、紛争後の諸問題」
である。

外務省シンポジウムから数えれば3日目ともなると、さすがに頭が
疲れて来て、なおかつ英語の議論を通訳を通さずに聞いていたので、
理解するのが難しい。
しかし冒頭のノースカロライナ大学のアンソニー・オバーシェル先生
の講演は刺激的だった。 
冷戦後の現在の「新しい戦争」は国家間の戦争ではなく、国家と国家で
ない者(テロリストやゲリラ等)の間での武力闘争がますます主流に
なって来る。
これを発表者は「逸脱戦争」と呼ぶ。
逸脱戦争による紛争を収めるには、これまでの国家間戦争を前提とした
枠組みの中で議論されて来た国際人道法による非戦闘員の保護などの概念
も場合によっては見直しを余儀なくされるという問題提起が物議を醸す
中心点だ。
しかし論者はなし崩しにこれらの概念を見直せと言うのではなく、
現実が概念の見直しを求めてくるので、これに対処する方針を考えた
方が良いとする問題提起であると私は受け取った。

この問題も、イラクの現状を頭に置いて考えるとより現実的な問題提起と
なって来る。

このセッションの司会者が東京外国語大学でイラクを専門に研究されている
酒井啓子先生というのもまた巡り合わせの妙である。
酒井先生もご自身の関心になぞらえて、他の論者の論点を整理する名司会者
ぶりを発揮しておられた。

この日の議論の中でさらに問題提起されたのは、学者や研究者(Scholar)と
より現場寄りの実務家(Practitioner)の間の問題に対する温度差や距離感の
違いである。

私もこの分類では今のところは実務家に相当する部類の人間であるが、
研究者の議論も問題を整理するうえでは参考になることが多いので、
距離があること自体は問題としない。しかし、距離があり過ぎて現実に
即さないことになったら問題であろう。

最終のセッションは“平和コミュニケーションの挑戦-真の平和の実現を
目指して“
「平和構築・紛争予防講座」主催者である東京外国語大学の伊勢崎賢治先生
の言葉を私なりに解釈し直すと、「平和は願っているだけでは実現できるとは
限らない。常に自分以外の他者への働きかけを必要とする。しかし自分の
自分の思っている平和が相手の思っている平和とは限らない。いや、むしろ
自分の思っていることは伝わらないものだと考えた方が良い。それでも
何とかして平和を実現するためにはコミュニケーションに長じる必要がある」
ということになる。
ここはまさに実務家の独壇場とも言える分野で、平和運動や広告の分野で
第一線の実践者がパネリストとして語った。
従来から研究者も、そして実務家の側からも接点が少なかった分野であると
思うので、非常に興味深く、またこの後の発展が楽しみな分野である。
しかし一方でコミュニケーションは容易にコマーシャリズムに飲み込まれは
しないかとの懸念も感じた。

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