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2008.01.14

遠い夜明け

1月13日(日)

いきなり映画のタイトルのような表題をつけてしまったが、
きょうの話題もイラクである。

帰国を前にして、会議やらイラク人の知人へのあいさつで
きょうも一日暮れて行ったわけなのだが、どこの話を聞いても、
TVニュースなどで伝えられる「治安改善」の話が夢物語の
ように聞こえてきて、別の世界の話を聞いている気分になる。

きょうもバグダード市内ではサドルシティで2発の自動車爆弾
の破裂と、繁華街のカラーダ地区では撃ち合いがあったと聞くが、
詳細は不明だ。バグダード市内でも携帯電話のつながりが悪く、
違う地区の様子となるとぜんぜんわからないという。
シーア派の祭事「アシュラ」のために巡礼者が向かう聖地カルバラ
とナジャフに向かうルートではトラブルを回避するために厳戒態勢で、
明日からはバグダード市内は車両通行規制が始まるという。

イラクからアンマンに避難して来ているイラク人のひとりのAさんに
会い、「報道ではバグダードやアンバール県では治安が改善されて
いると言っていますが...」と水を向けてみたところ、最新の現場レポート
を読んでいるかと一喝されてしまった。

確かに数字のマジックが使われている。
2007年後半が前半と比べて良くなったかと言われればYesである。
しかし、どの程度良くなったかと言えば、サマッラ聖廟の爆破事件の
あった2006年2月のレベルに戻っただけで、その前にもっと治安の
良かった2005年のレベルにも達していない。

この理屈は、米軍3万人の増派で治安改善の効果があったとして、
その3万人を減らすことを「削減」と称する理屈(あるいは屁理屈?)と
まったく同じである。

イラク国民議会は昨日付けでいわゆる旧バアス党員の公職追放
政策を撤回する法律を通過させ、これを国民融和策に向けての
大いなる前進であるとバハレーン訪問中の米国ブッシュ大統領は
自賛したが、これも米国による占領軍暫定当局(CPA)の統治の
時代の誤りを元に戻しただけのことで、アメリカの尻拭いを今の
イラク政府が取らされたようなものだ。

これについてもイラク人Aさんは辛口で、「今さら戻してもこれで
恩恵に浴するのは、旧政権の中で恩恵に預かっていた、使えない
人たちだけだ。実務者など本当に使える人たちはとっくにイラクの
中にはいなくなってしまっている」と言う。

どこまでも夜明けの見えない話を続けるこの友人の話に私はただ
うなづくしかなかった。

日本も含む国際社会も共犯者で、イラクを食い物にしているという
批判もあった。彼の指摘にどれだけ私たちは反論できるだろうか。

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