« 2007年3月 | トップページ | 2007年5月 »

2007.04.26

JVC「イラク特措法改正に関する公開質問状」を政府に提出

JVCは、4月25日付けで「イラク特措法改正に関する公開質問状」を
政府に提出しましたので、以下にその内容をご紹介させていただきます。
http://www.ngo-jvc.net/jp/notice/notice20070426_iraqstatement.html

            *************


政府は去る3月30日、イラク特措法の改正案を閣議決定し国会に提出
しました。4月24日には国会での審議も始まりました。
JVCは自衛隊派遣が十分な情報開示も検証もないまま続けられている
ことを問題と考え、この機会を捉えて安倍内閣総理大臣に宛てて公開
質問状を提出しました。

 イラクの状況はきわめて深刻です。現地の協力者からの情報でも
治安の悪化によって人々が生命の危険を感じる度合いが高まっている
のがわかります。避難民や難民になる人たちも加速的に増えてきて
います。対立がコミュニティに持ち込まれ、地域社会が分裂する傾向
さえ帯びてきました。そんな中で生活の基本的なニーズすら満たされ
ない人々もたくさんいます。

 今回の公開質問状では、こうしたイラクの現状をどうすれば改善
できるのかという視点から質問を作成しました。この質問状への
政府の回答が届いた時点でホームページ上でアップして皆さんにも
お知らせします。

 私たちは今後もイラクの人々への支援を続け、イラクの状況を
見つめながら、イラクに関する政策提言活動も続けていきます。

                (特活)日本国際ボランティアセンター
                 代表理事 谷山博史

-----------------------------------------------------------

                             2007年4月25日
内閣総理大臣 安倍晋三殿

      「イラク特措法改正に関する公開質問状」


政府は3月30日、7月末に期限が切れるイラク復興支援特別措置法の
改正法案を閣議決定し国会に提出しました。この法案提出の理由として
久間防衛大臣は「国連並びに多国籍軍が復興と安全確保活動を行って
おり、その支援のために航空自衛隊の輸送活動が必要だという要請が
ある」と述べています。

イラクの現状をみるに、治安状況は悪化の一途をたどっています。2万人
以上の米軍の増派を受けて行われたこの新治安作戦によっても状況は
改善される兆しはみられません。また治安の悪化が宗派間の対立によ
って引き起こされている面があることは確かですが、宗派対立が激化
するに至った占領政策の影響も無視することはできません。さらに米軍
を中心とした多国籍軍による空爆、狙撃、家宅捜索、捕縛・拘束がイラク
の人たちの生命と安全に危険をもたらしていることも大きな問題です。

イラクにおいて人道復興支援活動を行っている私たちは、アメリカによる
イラク開戦の正当性と占領政策そして主権移譲後の治安作戦の妥当性
に対して強い疑問を抱いています。そして日本政府がイラク戦争を支持
した小泉政権の外交政策の検証もないままイラク特措法を制定したこと、
さらにイラクでの自衛隊の活動についての情報が十分に公開されず、
その妥当性の検証もされぬまま自衛隊の派遣が延長し続けられること
に危機感を感じざるをえません。

私たちは、多数の民間人の命が失われ続けている現在のイラクの治安
状況が一刻も早く改善されることを期待しています。そのために日本
政府はどのようなイラク支援の方策をとるべきなのかについて、「人道上
の危機」と言われるまでの治安の悪化を招いた原因と責任がどこにある
のかの検証を踏まえた上で明らかにする必要があると考えています。

イラク特措法改正の国会審議に当たり、日本政府に以下の質問に答え
ていただき、日本とイラクの市民に対して説明責任を果たしていただき
たいと思います

----------------------------------------------------------------
(1)多国籍軍の活動に対する評価について
----------------------------------------------------------------
■派遣された多国籍軍は、治安回復に対し、いかなる成果を上げていると
理解していますか。
■その評価・検証は行われていますか。
■もし、まだ評価が行われていないのであれば、今後、いつどのような形で
評価が行われる予定ですか。

----------------------------------------------------------------
(2)自衛隊派遣の評価について
----------------------------------------------------------------
特措法の改正案を国会で議論するに当たって私たちはこのイラク政策見直
しの重要な局面において、イラクへの自衛隊派遣の評価を踏まえた議論が
必要だと考えます。
■2006年7月に撤退した陸上自衛隊および航空自衛隊の活動の評価はされ
ているのでしょうか。
■評価をしていないとするならば、なぜしないのでしょうか。
■また評価をしていない場合、今後いつ、どのような形でするのでしょうか。

----------------------------------------------------------------
(3)航空自衛隊派遣の非代替性について
----------------------------------------------------------------
航空自衛隊の活動として政府は、クウェートからイラクのバスラやバグダード
及びエルビールの空港に多国籍軍や国連の物資や部隊を輸送していると
説明しています。しかしイラク国内のこれらの空港にはロンドン、ウィーン、
アンマン、カイロ、ドバイ等から民間商業便が就航しています。
■国連の物資や武装解除された多国籍軍の兵員や物資を輸送するのであれ
ば航空自衛隊を派遣する必要があるのでしょうか。
■航空自衛隊による輸送が必要であるとするならばその理由を説明してくだ
さい。

----------------------------------------------------------------
(4)航空自衛隊派遣延長の効果について
----------------------------------------------------------------
■自衛隊派遣の延長によってイラクの治安を回復し、人びとの暮らしを改善
することに寄与するになると考えているのでしょうか。 
■もし考えているのであればその判断の根拠を示してください。

----------------------------------------------------------------
(5)イラク政府と多国籍軍による治安の回復に目処が立たない状況にあり
ますが、もしイラク特措法を改正し航空自衛隊の派遣を延長した場合の出口
戦略を説明してください。
---------------------------------------------------------------
■どのような状態になれば航空自衛隊派遣の目的が達成されたとみなし
撤退するのでしょうか。
■また航空自衛隊派遣の目的が達成されない場合、どのような場合に撤退
するのでしょうか。
■多国籍軍の要請が引き続きある場合でも撤退することはあるのでしょうか。
それはどのような場合でしょうか。
----------------------------------------------------------------
(6)自衛隊派遣の政策判断について日本の国民とイラクの人々に対する説明
責任を果たしていただくために陸上自衛隊と航空自衛隊の活動についてその
情報を公開していただきたいと思いますが、
----------------------------------------------------------------
■陸上自衛隊と航空自衛隊の活動についてその情報を公開できない活動が
あるでしょうか。 
■また情報を公開できないものがあるとすれば、その理由は何でしょうか。
■自衛隊の活動内容を裏付けるものとして多国籍軍やイラク政府との合意
文書は存在するのでしょうか。
■またその文書は情報公開できるのでしょうか。情報公開できないとした場合
その理由は何でしょうか。

以上質問項目への回答をお願いします。

        特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)
                           代表理事 谷山博史

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.04.25

分離壁は人の心も分離させる

Wall2004

【2004年4月当時のパレスチナホテルも、コンクリート壁と
 レーザーワイヤー(鉄条網)に囲まれていた。 筆者撮影】

21日の晩にJVCパレスチナボランティアチームの集まりに参加して、
その場で「壁」のニュースを聞いた。

この日は昼から川崎市内で行われたJVC代表の谷山さんによるイラク
講演会に同行していた。折からの好天。しかし土日の休みの中で
どれくらいの方々に来ていただけるのか案じていたが、20名ほど
集まった方々は熱心に話を聞いてくださり、質問も活発だった。
やはり現地の状況をきちんと伝える努力をしなくてはいけないと
気を引き締めた。

こんな後だったので、イラク関係のニュースチェックが遅れていたし、
メンバーがメンバーなので、「壁」と聞いて最初に思い浮かべたのは
やはりヨルダン川西岸のパレスチナ地域の分離壁のことだった。

しかし、話は違っていた。イラクのバグダッドの「壁」だと言う。
なるほど、帰ってからニュースをチェックしてみると、バグダッド市内、
アダミーヤ地区(シーア派の住民が多い)を囲む全長5kmに及ぶ
壁だった。
聞くところによると、この壁の建設は地元の住民の意向を聞くことなく
米軍により4月10日より始められ、20日過ぎにはほぼ完成だと言う。

更にはこれにとどまらずバグダッド市内西部やサドルシティ、南部の
ドーラ地区など市内5箇所での建設が予定されており、いわゆる
「宗派対立」が顕著な地域での治安維持のための方策なのだと言う。

確かにこれらの地区で暴力による対立が顕著なことは伝えられている。
しかし、そのような対立を前提として、このような壁を築くことは、
対立を固定し、状況を悪くするばかりではないか。このような壁を
築くことによって決して状況は改善されない。

私のような者でもこのような単純な理屈はわかるのだが、どうも
米軍の治安担当者にとっては事態はそういうことではないらしい。

などと考えていたら、さすがにイラクのマリキ首相も22日、
カイロで「この壁の建設に反対し、建設中止を求めた」と発言した
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070423AT2M2300823042007.html

更に23日にはこの壁の建設に反対する抗議集会も開かれた。
しかし、いったん壁の設置を「見直す」とした発表を行ったはずの
米軍当局は前言を翻し、設置を中止する予定はないとしている。
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200704240004.html

主権はイラク政府にあるので、事実上は占領軍状態が続いている米軍と
言えども、イラク政府側の許可を取らずに勝手にこのような建造物を
作ることは許されないと米軍関係者は主張しているとも聞く。

しかし、最も肝心で意見を聞くべきなのはイラク政府当局者よりも、
地元住民の意向ではないだろうか。

この後の記者会見で、イラク政府の治安関係者は、「壁」の建設は
地域の分断を目的としたものではなく、地域の治安を守り住民を保護
するためのものだと主張している。
建設はあくまでも一時的なものだとして、高い「壁」が問題なので
あれば、もっと低いコンクリートの障害物や金属ワイヤーに代える
可能性はあっても、障害物を設置して往来に制限を加える方針そのものは
撤回する意思はないということだ。

すでにさまざまな形でバグダッドの市民は疑心暗鬼になり、互いに
心理的に分離されている。その上で更に物理的に分離することで、
このような心理的な分離も固定しようとするのであろうか。

百歩譲ってこれが治安対策を目的としたものであったとしても、米軍の
方針はあまりにも稚拙ではないだろうか。
このような稚拙な方針を繰り出さなくてはならないことが、新治安対策の
行き詰まりを象徴している。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.04.19

イラクの空に何が見えたか?

2007年4月18日。ひとりのイラク青年が1ヶ月弱の日本滞在を
終えて旅立って行った。

この間、日本での講演のうち7回に同行し、じっくりと彼の
体験を聞くことができた。
(静岡、名古屋1、広島、東京、岐阜、名古屋2、東京2)

イラク戦争から4年が経ったこの時期、はっきり言って日本
でもイラクでの出来事に関心が薄れていることは否定できない。

であるからこそ、この時期にイラクの戦闘地域と呼ばれる
地域のアンバール県ラマディの出身者である彼が日本を訪れ、
直接に語ったことの意味は大きかったと言える。

彼の来日中にも、日々イラクの情勢は動いていた。
2月14日に開始されたバグダッドを中心とする新治安作戦
(Operation Law and Order=法と秩序作戦)は、武力衝突
による新たな民間人犠牲者を増やしこそすれ、掃討作戦に
よる効果は疑問視されている。

なるほど、バグダッドでは一時的に、また一部の地域の
治安は良くなったと伝えられていた。
私たちが支援をしていた病院に通える患者の数も、昨年末の
最悪の時期を脱して上向きになって来たとも伝えられていた。
しかしここ数日のバグダッドでの爆破事件の激化を見ると、
元の木阿弥なのだろう。治安の改善はあくまでも一部に限られ、
また一時的なものとしか見えない。

来日したカーシムが語ったのは、戦争で友人を亡くし、戦後も
米軍の攻撃などで友人や親族を亡くし、自身も傷つきながらも、
それでも銃を取って報復を行うことは正しくない、その負の
エネルギーを地域の再建、回復に向けたプラスのエネルギー
に変えるのだという信念だった。

彼がこのような信念を持つに至った経緯も単純なものでは
ない。
イラク支援に献身する高遠さんとの出会いがあり、彼女から
影響を受けてこのような考えに至ったということだが、
最初は考えが違いぶつかることが多かったという。

今回の来日中にも、親族が亡くなるなどの現地からの報に
接して心穏やかでなかったこともあった。

しかし、それでも米兵の銃を憎みながらも米国人その人を
憎まず、銃を取って復讐する代わりに道具を手に取るという
その言葉を聞いて心を動かされた日本の人々も少なくなか
ったと信じたい。

昨年、アンマンで出会った同じくアンバール県出身のイラク人
ビジネスマンの言葉を思い出した。彼はベトナムなどから
家具や衣料品を調達して中東の地域で販売する商売をしていて、
この貿易による利益を自分の出身地域の復興に当てていた。
彼の息子さんは戦後に米軍に撃たれて亡くなっている。

このビジネスマンも言っていた。
「米軍は私の町の復興を妨げたいのだ。私の町を復興させる
ことが私にとって息子のための米軍に対する復讐なのだ。」

カーシム、そしてこのビジネスマンの人々の上のイラクの
空の色はどんなだろうか。

奇しくも私が最後にイラクの地を離れてバグダッド空港から
アンマンに移動したのは3年前の2004年4月18日のこと
だった。

Bgd0418


写真: サダム・タワーとバグダッドの青空
(2004年4月18日バグダッド市内にて筆者撮影)

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2007.04.16

『 イ ラ ク の 空 に は 何 が 見 え る ? 』

3月に帰国以来、早くも1ヶ月...
気を緩めると更新を怠っていますが、このところイラクホープネットワークの
イラク青年招聘プロジェクトに関わっておりました。

3月15日付けの東京新聞朝刊の「こちら特報部」にこのイラク青年と
高遠菜穂子さんのインタビューが掲載され、また16日夜のTBS系News23の
マンデープラス枠でこのお二人が生出演します。

そして17日には今回の日本滞在最後の報告会が開催されます。

とりあえずのご紹介にてすみません。

■■■■■■□□□□□□□□□□□□□■■■■■■
■■■□□□        □□□■■■
■             ■
    緊 急 開 催!! イ ラ ク 開 戦 か ら 4 年
     戦 闘 地 域 ラ マ デ ィ か ら の 報 告

     『 イ ラ ク の 空 に は 何 が 見 え る ? 』
          ~ あるイラク青年の体験 ~
■             ■
■■■□□□       □□□■■■
■■■■■■□□□□□□□□□□□□□■■■■■■

4月17日(火)19:00開始 (開場18:30)

場所:ピースボートセンターとうきょう
   http://www.peaceboat.org/office/index.html
   (山手線・西武新宿線・東京メトロ東西線「高田馬場」駅 徒歩8分)
   TEL:03-3362-6307 FAX:03-3362-6309

★参加無料/要予約(電話にてご予約ください)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ピースボート/NPO法人PEACE ON
/イラクホープネットワーク/ファルージャ再建プロジェクト 共催
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  「テロとの戦い」の最大拠点と名指しされた
  イラク西部アンバール州ラマディ
  先月22日 ラマディ上空に米軍の戦闘機が飛来
  4軒の民家に爆撃 死者26名 負傷者多数

  家屋は潰され 学校は占拠された
  食料配給なし 医療配給なし

  空が恐怖に染まって4年
  増えていくのは民間人死者数とその遺族
  そして 報復を誓う抵抗勢力

  なぜ ラマディは「テロとの戦い」の
  最大拠点となったのか?
  なぜ 彼は米軍に拘束されたのか?

  世界中のメディアが近づけない戦闘地域ラマディから
  1人の青年が自分の体験を語るために来日した

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎ゲストプロフィール◎

カーシム・トゥルキ(30歳)

1976年11月27日生まれ。エイドワーカー。
イラク、アンバール州ラマディ在住。アンバール大学機械工学部卒業。
イラク戦争中は共和国防衛隊に所属。
イラク戦争直後4月28日にファルージャで起きた米兵によるデモ参加者
乱射事件をバグダッドのメディアに報せに来たことをきっかけに、フリーの
ガイド兼通訳として米テレビCNN や日本人ジャーナリストに同行。
同年6月、日本人と同行取材中に米軍に不当逮捕され9日間拘束。
釈放後「イラク青年再建グループ」を主宰。
これまでに学校などの修繕工事、診療所開設、避難民への
緊急支援などを行っている。
2004年からは日本の民間支援「ファルージャ再建プロジェクト」と
協同し現場の指揮を執っている。
昨年はラマディの様子を英語で記したブログがアメリカを中心に
話題となるが、それを理由に再度米軍に拘束された。

□□□■■■■カーシムさんのブログ紹介■■■■□□□

Iraq Mail日本語版 < http://iraqmailj.exblog.jp/ >
Iraq Mail英語版 < http://iraqmail.blogspot.com/ >

カーシムさんはジャーナリストでも政治家でも医師でもない、
ごくふつうの青年です。その彼がインターネットで発信して
いるイラクの様子は、とてもリアリティがあります。

倒れている人が米軍の戦車にひかれていくのを目撃したり、
怪我をした兄が病院へ向かう途中、米軍の検問を通してもら
えずに亡くなったり、甥が不当に逮捕されたり、自分も拷問
を受けたり・・・。
そして同じ悲しみを抱えた多くのイラクの人達と同様に、
何度も“武力で抵抗する側”に走りそうになったといいます。
しかし彼は悩み苦しみながらも、
「結局、武力では何も解決しない」
「非暴力で平和を作り上げていかなくては」
と、戦禍のイラクのなかでそれを実践しています。
まさに“憲法9条”を体現している人です。

詳しくは彼のブログ(日/英)をぜひ読んでください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆総合問合せ先◆ 
  iraq_hope_net@yahoo.co.jp [イラクホープネットワーク]

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

| | コメント (0) | トラックバック (1)

« 2007年3月 | トップページ | 2007年5月 »