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2007.01.14

【JVCイラク・ブリーフィング】米軍増派への懸念

12日のJVCパレスチナイベントにお越しいただきました皆様方に
お礼を申し上げます。おかげ様で70余名もの方々にご来場いただきました。
「人道支援で人々を救えるのか?」の重い問いはパレスチナのみならず、
今のイラクにも共通する大きな問題です。

そのような観点から、イラクの緊急状況を踏まえつつ、10日に発表された
米国ブッシュ政権の対イラク新政策に対しての考え方をJVCは13日に
発表しています。以下の通り後紹介させていただきます。

*******************************

JVCでは主にドナー、中東研究の専門家の学者、報道関係者、政治家の方々を
対象としてイラク情勢に関するブリーフィングペーパーをメールマガジンの形式で
お伝えするイラク・ブリーフィングを2006年5月以降これまでに5回に渡って発行して
来ました。

このたび、米国現地時間10日に発表された米国ブッシュ政権の対イラク新政策に
対してJVCの考え方を表明するためにポジションペーパーを緊急に発行し、
ブリーフィング第6号として13日付けで発表しましたので、ご紹介します。


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           イラク・ブリーフィング 第6号 

       発行:日本国際ボランティアセンター(JVC)

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 日頃より日本国際ボランティアセンター(JVC)の活動にご理解、ご協力を
いただきありがとうございます。
 JVCは2003年より、イラクの医療支援・緊急支援を行なっています。現在は
ヨルダンを拠点に、イラクで白血病に苦しむ子どもたちへ医薬品支援を継続中
です。

 支援活動から見えたイラクの現実や現場の人々の声、政策などへの意見を、
「イラク・ブリーフィング」として配信しております。
 1月10日(米国現地時間)に米大統領より発表された米軍増派の方針に対し、
現地の人々とともに活動してきたNGOとして下記の通り懸念を表明します。


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米軍増派という米国の対イラク新政策の発表に際して
  ~さらなる衝突の激化を懸念~
─────────────────────────────────

 2007年1月10日(米国現地時間)、ブッシュ米大統領は、イラクに対する新し
い政策として米軍約2万人を増派する方針であることを発表しました。私たちは、
この新方針に強い懸念を感じています。

 イラクの治安状況は悪化の一途をたどっています(*1)。武力衝突や爆弾事件
などで直接的に被害を受けなくても、私たちが支援を続けている病院において
必要な医薬品の供給が不足して、充分な治療を得られないなど、不特定多数の
一般市民が大きな影響を受けています 。この状況に至った背景には、ブッシュ
大統領が自ら認めているように、米軍主導による杜撰な復興計画と過剰な武力
の行使を伴う治安活動があります。この事実を踏まえたときに、米軍の増派とい
う新方針が、「内戦」とまで言われるほどの緊急状況に対して、一時期的な、そ
れも極めて短期的な沈静化をもたらすことができたとしても、根本的な問題の
解決にならないばかりか、武力鎮圧に伴う市民の犠牲の増加によって、権力
闘争や利害対立に由来する様々な対立軸上での衝突の激化と複雑化を招いて
しまう恐れがあります。

 ブッシュ大統領は「責任をとる」という発言をしましたが、正当性を欠いた戦争
を始めた国々が取るべき「責任」とは、新たなる対立激化の火種をまき散らす
ことではなく、複雑化する武力衝突の連鎖を止めさせ、すべてのイラク国民と
すべての周辺国の協力を仰ぎながら、どのように地域の人々の間で和解の
枠組みをつくるかを考えるべきではないでしょうか。

 開戦以前からイラク市民に対し人道支援を行ってきた私たちは、今回の新
方針によって、武力衝突が増え、更に人道上のニーズが増加していく可能性
が高くなることを懸念しています。またその一方で、人道支援が実施可能な
領域さえ縮減していくことを強く憂慮します。対テロ戦争あるいは中東の民主化
と呼ばれる戦争目的に対する「付随的被害」という言葉で済ますには、あまり
にも多くのイラク市民の命が失われました(*2)。イラクを逃れる難民の数も増加
しています(*3)。
イラク人から既に根深い反感を買っている米軍の更なる投入は、武力対決の
姿勢を強化させるばかりで、和解の可能性を小さくさせ、根本的な問題の解決
を遠のかせます。大国の思惑のために始めた戦争を、大国の名誉を優先させて
決着を付けるような方策は、人道の観点から道徳的、倫理的に許されるものでは
ありません。

 今回の米国のイラク新方針の発表と実施によって、イラク情勢がどのような展
開をするのか予断を許しません。私たちJVCは、状況に関わらず恒常的な支援
を必要としているイラクの白血病の子どもたちの支援を続けるとともに、市民の
人道ニーズに応えるべく体制を整え、緊急支援活動を行っていきます。また、
イラクで何が起こっているかを市民の視点から見つめ続け、日本社会に発信を
続けていきます。そして、少しでも早く安心した生活がイラクの人々に戻るよう、
日本政府を始め国際社会に対し、責任ある形で適切な対応をとるよう政策提言
活動を行っていきます。

<脚注>
*1:調査報告書「イラクにおける小児ガン治療機関での医薬品供給状況」
  (2006年11月18日、JVC)参照
*2:2003年3月の開戦以来、死亡したイラク人の数=約65万5千人
  (「ランセット」英医学雑誌報告による推計)
 *3:UNHCRが周辺国に逃れる難民支援のために6000万ドルの緊急アピールを発表
  (2007年1月8日)
  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■JVCのイラクでの活動はこちらをご覧ください■
隣国ヨルダンを拠点に、白血病の子どもたちへの医薬品支援を行なっています。
皆様のご支援をお願いいたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<発行>
日本国際ボランティアセンター(JVC) イラクチーム

ご質問・取材等は下記までお問い合わせください。
調査・提言担当:高橋 清貴 kiyo@ngo-jvc.net

東京都台東区東上野1-20-6 丸幸ビル6F
TEL 03-3834-2388/FAX 03-3835-0519
http://www.ngo-jvc.net

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■■JVCは世界11ヶ国で支援活動を行なっている国際協力NGOです■■
■■     JVCへのご寄付は税金控除の対象となります     ■■

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2007.01.10

催し物ご案内(パレスチナ、イラク)

1月12日にパレスチナ(ガザ)、2月4日にイラクのイベントがあります。
ぜひとも足をお運びください。
もちろん私も参加します。4日は通訳を務める予定ですが、どうなりますやら。

パレスチナイベントでお世話になる土井敏邦さんには、2003-2004年に
イラクのバグダッド取材に来られた際には同宿でお世話になりました。


【その1.パレスチナ(ガザ)イベント 1月12日(金) なかのゼロ】

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ガザからの声 ―選挙から1年、パレスチナはいま―

2006年2月のハマス政権誕生に対する国際社会からの経済制裁が続く中、
夏以降ガザではイスラエル軍の軍事侵攻が激しさを増し、ガザの人々はさらに
困難な生活を強いられています。一般家庭の失業率は40%を超え、
栄養失調や貧血により子どもたちの命さえ危険な状況にさらされています。

しかし、厳しい状況が続く中でも人々は希望を失わず助け合って生きており、
日本国際ボランティアセンター(JVC)では栄養失調の子どもたちとお母さん
たちを支える事業を続けています。

人々はどんな思いで生きているのか、そして、ガザはどうなっていくのか― 
日本のメディアではあまり報道されなかったこの1年のガザの人々の様子、
生活、思いを、長年にわたりパレスチナを撮り続けてきたジャーナリストの
土井敏邦氏、そして長年パレスチナで人道支援に従事してきたJVCパレスチナ
事業担当の藤屋リカからの報告と、JVC前代表、熊岡路矢の司会による
二人の対談でお伝えします。

【日 時】2007年1月12日(金) 19:00~21:00
【場 所】なかのZERO本館 視聴覚ホール
     東京都中野区中野2-9-7
     (JR・東京メトロ東西線中野駅南口から徒歩8分)
【地 図】http://www.nices.or.jp/
【参加費】1,000円(JVC会員は¥500) ※資料代として
【定 員】100名
【プログラム】
第一部:藤屋リカ(JVCパレスチナ事業担当)からの報告
第二部:土井敏邦氏(ビデオジャーナリスト)からの報告
第三部:対談「ガザの人々は何を思い暮らしているのか」
     ・スピーカー:土井敏邦、藤屋リカ
     ・ファシリテーター:熊岡路矢(JVC前代表)
【主 催】JVCパレスチナ・ボランティアチーム
【お問い合わせ、お申込】日本国際ボランティアセンター(JVC)
Tel: 03-3834-2388 Fax: 03-3835-0519
E-mail: jvc-jer@ngo-jvc.net 担当:藤屋

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【その2. イラクイベント 2月4日(日) 文京区民センター】

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
  
    ◆ イ ラ ク の い ま ◆
   
   ~ 二人のイラク人・女性医師に聞く ~

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

 イラク戦争開戦から4年―――
 治安回復のきざしがいっこうに見えない中、
 構図の見えない対立は激しい暴力の応酬を繰り返し、
 市民の暮らしと安全は悪化の一途をたどるばかりです。

 日本の市民のイラクへの関心も次第に薄れ、
 メディアも犠牲者の数を機械的に伝えるだけに
 なってしまった今こそ、イラクで暮らす人々の声を
 聞かなければなりません。

 イラク第2の都市バスラから、北海道札幌市の
 市立札幌病院未熟児センターにて研修のため
 昨年から来日中の二人の医師に、メディアから
 伝えられ難いイラク国内の人々の暮らしや医療
 の現状について伺います。
 ぜひ多くの方のご参加をお待ちしています。


≪お話≫ ガフラン・サバ医師(35歳)
     アンサム・サリ医師(35歳)
 共にバスラ産科小児科病院の小児科医。専門は新生児。

「私たちは、イラク南部・バスラ市の医師です。
 私たちの国は、長い間あらゆる種類の戦争に苦しめ
 られています。人々は、理由もなく殺されています。
 侵略者たちは“人間”に何の関心もありません。
 子どもたちは、侵略者の強欲を満たすためだけに、
 その生命を奪われています。彼らは、私たちの
 精神と肉体を抹殺しようとしています。
 しかし、私たちの意志は、彼らよりもはるかに
 大きなものです。期待と希望を、そして皆さんの
 ような暖かい友人を持っている限り……」


≪聞き手≫ 国井 真波(JIM-NET/JCF看護師)

●日 時:2007年2月4日(日)
      午後5時30分 開場/午後6時 開演
●場 所:文京区民センター(文京区本郷4-15-14)
     2階2A会議室/都営地下鉄 春日駅A2
     出口すぐ上/営団地下鉄 後楽園駅徒歩
     3分/JR水道橋駅 徒歩13分)
●参加費:500円

≪共催≫
  イラクホープネットワーク
          < http://www.iraq-hope.net >
  NPO法人PEACE ON
          < http://npopeaceon.org >
  JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)
          <http://www.jim-net.net/ >
  CADU-JP(劣化ウラン廃絶キャンペーン)
          < http://www.cadu-jp.org >
≪協力≫
  セイブイラクチルドレン札幌
  
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        ◆お問い合わせ◆
     TEL/FAX:03-3823-5508(PEACE ON)
     Eメール:iraq_hope_net@yahoo.co.jp

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2007.01.01

謹賀新年と近況報告

さて、私事ながら、12月に身辺の変化もありましたので、
この機会に新年のご挨拶と合わせて連絡をさせて頂きます。

私は2003年7月よりJVCイラク現地調整員の仕事をさせて
いただいておりましたが、昨年末の12月18日付けで有給専従の
スタッフとしての契約を終えることになりました。

この間、イラク人道支援に関わり3年半ほど経ち、おかげ様で
皆様のご支援、ご指導を頂いた甲斐もあり、白血病やガンの
子どもたちへの医療支援を主とするプロジェクトについては
ささやかながらも成果を挙げることが出来たのではないかと
自負しております。

しかしながら、全般的にはイラク現地の人々の生活状況、
治安状況は悪化するばかりで、私が最後に隣国のヨルダンでの
滞在を終えて日本に帰国した昨年10月以降には危機的な状況に
至っています。

この状況を私たちは「緊急事態」であるとして日本政府をはじめと
する支援機関に対して、緊急対応策を取るようにとの政策提言を
続けて来ました。
その成果の一つとして、JVCとJIM-NETの連名で、昨年12月18日に
日本の外務省に対して政策提言を提出させて頂きました。

(参考URL)
 http://www.ngo-jvc.net/jp/notice/notice20061219_iraq.html
 http://www.janjan.jp/world/0612/0612200766/1.php
 http://www.jim-net.net/DATA/061218_petition.html

そして、私個人はこの日を持ちましてJVCとの契約が終了となりました。

JVCも当分の間、専任の担当者を置くことはなくなりましたが、
イラク支援を止めるわけではなく、今後は代表理事の谷山博史の
旗振りにより、プロジェクトチーム方式で、引き続き現地の状況の
ウオッチを続け、緊急事態に対する支援を進めて行く予定です。
従来から進めている白血病の子どもたちに対する医療支援も、
JIM-NETとの協力関係を通じて、継続して行きます。

私自身もここまで来て、今が一番助けを必要としているイラクとの
縁を切る訳には行かないと考えています。
有給専従スタッフではなくなりましたが、ボランティアとして、
JVCのイラクチームをサポートする関係は続けて参ります。

新年を迎えて、新たな仕事を探すことになりますが、これまでの
ご縁もありますから、できれば新しい本業でも再び何らかの形で
イラク支援に関わることができればと考えております。

改めまして、本年も昨年に増して皆さまからの暖かいご支援、
ご指導を賜りたく、よろしくお願いします。

原 文次郎
日本国際ボランティアセンター(JVC)
イラクチームボランティア

・・・と言うところまでが正式なご挨拶ですが、
この年末にはサダムフセインの死刑執行があったりしたものです
から、まだまだ落ち着かない日々を過ごしています。
なお、この件については、「死刑執行」と書きましたが、
実際のところは公正な意味での執行とは言えないと
思っております。
執行直前の模様を収めた画像見ましたが、
刑の執行という意味での処刑と言うよりも、
私刑に近い印象があり、気分が良くありません。


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