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2005.12.10

リメンバー・パールハーバー

1941年12月8日は日本軍による真珠湾攻撃の日。
この日を引き合いに出すのは古いのだろうか。

米国にとってはリメンバー・パールハーバーという訳だが、
2005年12月8日。よりによってこの日に日本政府は
イラクへの自衛隊派遣の1年延長を決定した。

首相記者会見によると、国連安保理決議により多国籍軍の
駐留延長が全会一致で決まったことと、このところの
イラクの首脳の来日で、イラク政府の彼らの口から自衛隊への
感謝の声が寄せられたことが主な根拠だと言う。
しかし国連は多国籍軍の駐留を白紙委任した訳ではないし、
日本が多国籍軍の一員であることを認めるのであれば、
多国籍軍の治安維持活動に対しても間接的にGOサインを出して
いることを認めることに等しいことを認識して欲しいと思う。
イラクのジャファリ首相(12月5-6日来日)は確かに5日の
小泉首相との会談でイラクは歓迎しているとして自衛隊の
派遣延長を要請している。
首脳会談の翌日の6日にイラクの石油相と日本の経済産業相が
石油と天然ガス分野での協力関係を進める共同文書に調印して
いるのだが、これとは無関係ともいえないのではないか。

自衛隊のような軍隊組織が紛争の一方の当事者である多国籍軍の
一員として米英軍と協調行動を取ってイラクに駐留することがどれだけ
地元の人々にとって困ったことであるのかが政府には認識されて
いない。
軍隊組織が人道支援目的であるとして進出することによって、
中立な立場で取り組んでいる非武装なNGOによる人道支援の動機付けが
イラクの人々に疑われ、それによってよりいっそう人道支援者の現地への
立ち入りが阻まれているということが実態であるのに。

06年の半ばにはムサンナ州地域の治安維持活動に当たっている英軍・
豪州軍の撤退を見越して陸上自衛隊を撤退させるシナリオが織り込み
済みの自衛隊派遣延長であると報道されていたが、しかし航空自衛隊は
期限一杯まで活動を続ける可能性があるとされている。
(しかも規定の上ではバグダッドやバラド、モスルへの飛行も可能だ。)

何より日本政府が自衛隊の派遣延長を決めた翌日の9日にはオーストラリアの
ハワード首相は06年5月の撤退期限以降の豪州軍の駐留に含みを持たせて、
日本軍の活動に合わせて延長する可能性を示唆した発言をしているという。

何のことはない。これでは何でもありになってしまうではないか。
「情勢変化を見ながら適切に判断する」と言うのは、結局その場の情勢を
理由に何でもありにできる方便なのではないか。

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2005.12.08

イラク支援のNGO、意見を表明(2)

baghdad_ready
<写真は総選挙準備の進められているバグダッドの模様。2005年12月>

イラクでの人道支援関係者、平和活動関係者の
拉致事件に関連して7日に発表されたNCCI声明文の
原文(英文)を紹介させていただきます。

NCCI Website: http://www.ncciraq.org/
CPT Team abducted in Baghdad - updated appeals and information / NCCI
http://www.ncciraq.org/breve.php3?id_breve=671


NGOs Coordination Committee in Iraq (NCCI)
Press Statement

NGOs call for the release of the four abducted peace makers in Iraq

- NGOs are calling for the release of the humanitarian peacemakers and aid workers abducted in Iraq.


- NGOs working in Iraq are pleading for the recognition of their
presence, their role and their impartiality, and for a guarantee
of the space they need to perform their work.

Following the announcement of the abduction of humanitarian
peacemakers and aid workers in Iraq, NGOs working in Iraq
would like to call attention to the fact that:

- At least 50 aid workers have been killed in Iraq in the last
2.5 years.
This is the highest ratio of humanitarian aid workers killed
in one country
worldwide for the past 10 years.

- Whilst Iraqis civilians are dying in dozens on daily basis,
13 international NGOs’ staffs have been killed.
The precise number of Iraqi NGOs’ staffs killed in the last
2.5 years is impossible to know.

- At least 10 international aid workers and many more Iraqi
aid workers have been abducted
in Iraq over the past
2.5 years.

- Despite these figures, international and Iraqi NGOs continue
to be present and working in Iraq,
mainly thanks to the
efforts of Iraqi colleagues in areas where international
staffs cannot be present on a full time basis.

-------

Iraqi civilians and aid workers are facing a large gap between the
legal protections they should enjoy and the violent reality on the
ground.
They face daily violations, such as abductions, executions,
arbitrary detentions, attacks on aid convoys and non-respect
for the principle of distinction between military and civilian people
and objects. Victims have no remedies to address the abuse.

NGOs are concerned about:

- The lack of protection for civilians and aid workers

- The lack of remedies to address violations of Iraqi and
international law

-------

Facing these hardships, NGOs working in Iraq are pleading to the
different parties involved in Iraq:

- For the release of the humanitarian peacemakers and
aid workers abducted in Iraq..

- For the recognition of NGO’s presence, role and impartiality,
and for a guarantee of the space they need to perform
their work.

End

For Further information please contact:

Kasra MOFARAH
Executive Coordinator
NGOs Coordination Committee in Iraq
Amman Cell Phone: +962-795-907-211
ncciraq@ncciraq.org

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イラク支援のNGO、意見を表明(1)

事前案内をしておりましたNGOの声明を発表します。

この文章を書いている時点(日本時間8日12時前)で、26日に
拉致されたクリスチャン・ピースメーカー・チームズの4名に関して、
犯行グループから当初8日に設定されていた予告期限が10日まで
延長されています。
現在、この4名のほか、以下の3件を加えると合計7名の欧米人の
拉致事件が発生していることになります。

1)人道支援に携わっていたドイツ人考古学者の女性とイラク人ドライバー
2)フランス人技術者(復興支援団体?勤務)1名
3)アメリカ人電気技術者1名

以下、NCCI(イラクにおけるNGO調整委員会)の声明を受けて7日付けで
発表したJVC声明です。

イラク支援のNGO 意見を表明

       イラクで拉致された援助関係者の解放を訴えます

11月26日、アメリカ、イギリス、カナダ国籍4名の人道援助関係者が
イラクで拉致されました。
彼らはクリスチャン・ピースメーカー・チームズ(CPT)のメンバーであり、
軍事攻撃の被害を伝え、拘束されたイラク人の人権擁護を訴えるなどの
活動を行っていました。また、29日にはやはり人道支援に関わる
ドイツ人女性が拉致されたとの報道がありました。

この事態に対し、イラクで人道復興支援活動に携わるNGOの調整
団体であるNCCIは、拉致された援助関係者の解放を求める声明を
発表しました。JVCでは、一向に回復の兆しを見せないイラクの治安
状況の深刻さに鑑みて、このNCCIの声明に賛同します。

人道支援関係者が危険にさらされることは、現在のイラクで不可欠な
公正で中立な人道復興支援活動が妨げられることを意味します。
この声明は、私たち援助関係者の安全だけを求めているものでは
ありません。現在、治安悪化の被害を最も受けているのは他でもない
イラクの民間人であり、一般市民です。現在のイラクで法を無視して
行使される暴力によって、多くの民間人が危険にさらされています。
私たちは、全ての人道支援関係者の保護を求めると共に、イラクの
一般市民がいかなる暴力にもさらされること無く、人道的に保護される
ことを求めます。

2005年12月7日
日本国際ボランティアセンター(JVC)

***************************

イラクにおけるNGO調整委員会(NCCI)
プレスリリース(2005年12月7日)

NGOはイラクで拉致された4名の平和活動家の解放を訴えます

・NGOは今週イラクで拉致された人道的な平和活動家や 援助関係者たちの解放を求めます。


・イラクで活動するNGOとして、NGO活動の存在と役割、中立性が
認知され、人道支援の活動を進めるために必要な環境が確保
されることを求めます。

人道的な平和活動家の人々や援助関係者がイラクで拉致された
との発表を受け、イラクで活動するNGOでは以下の事実に注意を
払うことを求めます。

  -イラクでは過去2年半の間に少なくとも50名の援助関係者が
    殺されています

    これは過去10年間にー国の中で殺害された人道援助関係者の
    率として最も高いものです。

  -日常的にイラクの民間人が毎日多数亡くなるとともに、13名の
    国際NGOスタッフが殺害されています。
この2年半の間にされた
    イラク国内NGOのスタッフの正確な数を把握することは不可能です。

  -イラクでは、過去2年半の間に少なくとも10名の国際援助関係者と、
    さらに多くのイラク人の援助関係者が拉致されています。

  -これらの数値に表される状況にも関わらず、国際NGOとイラク国内
    NGOはイラクに存在し続け、活動を続けています。
    
    これらの活動は主に、国際スタッフが常時駐在できない地域での
    イラク人の同僚たちの努力に負うものです。

イラクの民間人や援助関係者は、彼らが享受するべき法的な保護と
現場での暴力的な現実との間の大きな格差
に直面しています。
彼らは拉致、処刑、恣意的な拘禁、援助輸送の車列に対する攻撃、
人々や物的な攻撃の対象を軍・民で区別するという原則の違反などの
日常的な暴力に直面しています。
被害者たちは、これらの乱用に対し訴える救済手段を持っていません。

NGOは以下の状況を憂慮します。

  -民間人と援助関係者に対する保護の欠如
  
  -イラク国内法、および国際法の違反行為に対する救済手段の欠如

これらの困難な状況を鑑み、イラクで活動するNGOはイラクの各層の
当事者に以下の事項を求めます。

 -イラクで拉致された人道的な平和活動家や支援関係者たちの解放
  
 -NGO活動の存在と役割、中立性を認知し、人道支援を進めるために
  必要な環境を保障すること

2005年12月7日
NGOs Coordination Committee in Iraq
(NCCI:イラクにおけるNGO調整委員会)

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(予告)イラク支援のNGO、意見を表明

ここのところ引き続く人道支援関係者や平和活動の関係者の
拉致事件に関して、NCCI(イラクにおけるNGO調整委員会)では
12月7日付で声明を発表しています。
日本語訳と合わせてこちらでもご紹介する予定ですが、
とりあえず現時点では前振りのご案内だけでとりあえず失礼します。
追って早々にご紹介します。

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2005.12.07

アフガンとイラクの「復興」とは?

iraq_t

もう来週になってしまいましたが、
こんな催しを企画しています。
たくさんの皆様のお越しをお待ちしています。

=============================================================
 ◇◇◇日本国際ボランティアセンター(JVC)報告会◇◇◇
      『どうなる アフガン・イラクの復興』
=============================================================
米国主導の「対テロ戦争」の中で軍事攻撃が加えられたアフガニスタンと
イラク。その後、両国は議会選挙を進めるなどして戦後の「民主化」の
プロセスを歩んでいるとされています。しかしその一方で治安状況が悪化
し、一般市民の犠牲者は増え続けています。また、人道援助関係者の中に
も犠牲者が出ています。果たしてこのような状況の中でアフガニスタンと
イラクの「復興」はあり得るのでしょうか。そして私たちは「復興」に
どのように関わるべきなのでしょうか。アフガニスタンとイラクで活動を
継続するJVCのスタッフが両国の人道状況、NGOが直面する問題を
ご報告し、国際支援のあり方、課題について皆様とともに考えたいと
思います。
 
<日時> 2005年12月14日(水) 
     19:00~21:00 (開場18:45~)                         

報告者:谷山 博史 (JVCアフガニスタン事務所代表)
     原 文次郎 (JVCイラク事業 現地調整員)
司 会:枝木 美香 (アーユス仏教国際協力ネットワーク)

<開催場所> なかのZERO(西館) 学習室4 
東京都中野区中野2-9-7  TEL:03-5340-5000
JR中央線/総武線または東京メトロ東西線中野駅南口より徒歩8分 

<参加費>  500円  ※JVC会員は無料

<主催> 特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター(JVC)
<協力> アーユス仏教国際協力ネットワーク

<お問い合わせ・申し込み> 
TEL:03-3834-2388  FAX:03-3835-0519
E-mail.hasebe@ngo-jvc.net (担当:長谷部)
お名前・電話番号・人数をご連絡ください。


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2005.12.04

拉致事件頻発...だが。

ここ数日、風邪を引いておりまして更新が遅れておりました。
今年の風邪はしつこく、またお腹にも来るようですから、皆様ご注意ください。

ところで、この間に英国人をはじめとする4人の人道支援関係者の拉致事件と
ドイツ国籍の女性の人道支援者の拉致事件が立て続けに発生しています。
ビデオ映像が発表された後の事態の進捗状況が不明なので、コメントしづらい
のですが、いずれにせよ、早々に解放されることを願っています。

しかし、イラクの一般の人々にとっては、日々身の危険にさらされることが
日常になっていることを忘れてはいけないと思います。

特にイラク西部のアンバール州ではまだ軍事作戦が展開中です。
15日には国民議会の総選挙を控え、首都バグダッドなどでは選挙宣伝ポスターも
たくさん貼られていると聞いていますが、これらのイラク西部地域では、まるで
これらの地域の住民が選挙に参加するのを妨げるかのように作戦が展開されて
いると言います。

時系列的に見ると次のような具合です。

1)1日にファルージャ近郊で路上爆弾により海兵隊員10名が死亡。
  1度の攻撃による死者数の多さでは8月以来とのこと。
  これを伝えるBBCによると、通常この規模の被害があった場合に
  すぐ報道発表を行う米軍の発表が一日遅れたのは、当日ブッシュ大統領の
  演説があり、完全なる勝利までイラクからは撤退しないと述べた直後に
  この種のネガティブなニュース発表があると困るので、時間を置いたためでは
  ないかと、鋭い突込みを入れていました。

2)CPTの4名の新たなビデオが放映(アルジャジーラ=>BBC2日夜10時)
  犯人の要求は多国籍軍に捕らえられている全イラク人の解放。
  要求を100%かなえるのは不可能だが、要求期限(8日)までかなり時間の猶予が
  与えられているのは現実的に対応の余地を与えるもので、人質解放の可能性が
  まだあるとの見方ができるとのこと。

3)選挙を前に米軍が新たな軍事作戦を開始
 (アルジャジーラ日本時間午前3時放送のものを日本語訳つきでNHK-BS1が
  3日午前9時に放送)
  ザルカウィグループが新たにラマディに拠点を作ったとしてこれを排除すべく
  新たな軍事作戦を開始。
  以前から鉄拳作戦が展開中のヒート付近でも100名の住民が拘束され、
  身柄が屋外に置かれているとのこと。

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2005.12.01

バグダッドとの会話(29日の晩)

11月29日の晩もバグダッド在住の知り合いのイラク人を
つかまえて、情勢を聞くことが出来た。

Hara:(28日の)サダム・フセインの裁判の様子はTVで
    見たかい?

「サダムは前回よりももっと強く、元気そうに見えたよ」
「サダムは強力な弁護士を付けている」
「その弁護士は法廷をイラク外で行うことを要求している。
 その方が弁護士にとっても裁判官にとっても安全だ。」
「12月5日(次回の開廷日)にはもっと詳しいことが
 わかるだろう」
 

Hara: ところで、4人の人道援助関係者が拉致されたと
    聞いているけれども、何か詳しく聞いていないかい?

「ああ、聞いているよ、多分そちらに伝えられているのと
 同じ程度にね。街の噂では彼らはまだ生命には別状は
 ないらしい。」

Hara: 他にドイツ人も捕まったていると聞いているけれども...

 「いや、ドイツ人の話は聞いていない。インド人やアフガン人
  などがカルバラで殺害されたとは聞いているが。」
(中略)
 「今バグダッドに来れば、選挙宣伝用の写真がたくさん
  貼ってあるのが目につくよ」

Hara: 候補者を選ぶのは難しくないか?

 「それほどでもないと思う。結構みんなアル・アラウィ
  (暫定政府元首相、世俗的中道派)の噂をしているよ」

Hara: しかし、普通のイラク人は何を基準に候補者を選ぶの
    かな?

 「まずは宗派別に選ぶのではないかと思う。そしてその次
  には支持する党派別だと思う。」

Hara: また、選挙を妨害しようとする武装勢力もいるみたい
    だし。

 「いや、今日に限って言えば、爆破などの悪いニュースは
  無かったよ」
 「こんな調子でもっと状況が良くなってくれれば良いの
  だけれど」

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