イラク西部地域での緊急支援
本当はこのブログという場では、仕事を離れた話を紹介したいと
思っていますが、なにぶんNGO現地職員という仕事柄、仕事と
私的な時間の差が少なく、なかなかうまい具合に仕事を離れて
面白い話があるというものでもありません。
きょうはそのものずばり仕事の話です。
イラク緊急支援の呼びかけですが、「今そこにある危機」でも
なかなか事件にならないと注目されないので、困ったものだなと
思いつつ、しかしそこに危機がある以上、対応をするのが
知ってしまった者の務めでもあると思います。
タル・アファルは21日の時点で既に避難民の帰還が始まっていました。
しかし、その時点から次なる危機は始まっており、サマッラの近郊では
次の戦闘を避けて避難民が出始めていました。
そして、今回はラマディなど、ユーフラテス河流域の地域です。
支援そのものも大事ですが、強引な軍事作戦によって民間人被害者が
見込まれる状況の中で、作戦そのもをを止めて欲しいというのが
切なる願いです。
以下、JVCのHPにも掲載した呼びかけ文です。
軍事作戦により民間人への被害が出ないよう訴えます
10月15日に予定されているイラク憲法草案賛否を問う国民投票を前に、
イラク政府軍と多国籍軍はシリアから国境を越えて侵入する武装勢力の
拠点となる地域に攻撃を加え治安の安定を図るとして、イラク西部地域での
武装勢力掃討作戦を強化しています。
9月10日-14日頃にかけて展開された北部のシリア国境近郊の都市
タル・アファルでの作戦もその一環です。作戦そのものは既に終息したと
伝えられていますが、この作戦に伴って多数の避難民が発生し(イラク政府
緊急支援室発表の数値で一時は6600名以上)、イラク赤新月社をはじめ
人道支援機関の支援の手が差し伸べられました。一部の避難民の帰還は
始まりましたが、攻撃により家屋が破壊され、水や電気などの設備が
破壊されているので、生活の立て直しは困難となっています。
このように、軍事作戦が展開されるたびに、その地域に居住する
一般市民の生活に危害が及ぶことが繰り返されています。
イラク国防相のサドゥーン・ドレイミ氏は武装勢力への攻撃の手を緩めず、
タル・アファルに引き続き、ザルカウィグループの潜伏地であるとされる
イラク西部アンバール州のユーフラテス河沿いの街道の都市、村落や
抵抗勢力の拠点とされるサマラなどの地域での作戦展開を表明しています。
実際にこれらの地域からの一般市民の避難が始まり、空爆や小規模な
戦闘も既に始まっています。
私たちは昨年の10月以降のファルージャ一斉攻撃の際に、ファルージャ
総合病院や市内の診療所がいち早く攻撃の対象とされたことに衝撃を
受けましたが、その後、Premiere UrgenceなどのNGOによる現地調査の結果、
これらユーフラテス河沿いの都市でも戦闘が起きるたびに、抵抗勢力と
治安当局の双方の攻撃により医療機関が被害を受けていると報告されて
います。
地元のNGO関係者を通じて伝えられたアンバール州の行政当局(アンバール
再建室Anbar Reconstruction Room)からの支援要請によると、現地は
砂漠地帯で気候の変動が激しい地域ということもあり、各年齢層に共通して
抗生剤などの薬品の需要が最も高いとのことで、以下の要請を受けています。
(総額1万2千ドル相当、9月11日時点)
クラフォラン (アンプル) 3,000本
アンピクロックス (アンプル) 3,000本
ボルタリン (アンプル) 2,000本
アモキシリン(シロップ) 1,500本
ケフレックス(カプセル) 2,000個
ケフリックス(サスペンション、小児用)1000個
包帯 患者400名分に足りる数
JVCでは、この支援要請に応えて緊急支援を9月19日より開始しました。
当面支援要請の3分の1に当たる4千ドル分の支援を計画していますので、
皆様からのご支援の募金をどうぞお願いいたします。
郵便振替: 00190-9-27495
加入者名: JVC東京事務所
通信欄: 『イラク緊急』とお書きください
これらの医薬品はバグダッド市内の保健省認定の薬局から正規に購入が
可能なので、地元のイラク人協力者の助けを得てバグダッドで購入の上、
アンバール州西部、シリア国境の都市カイム近郊の村落の診療所に配布します。
私たちはこれらの緊急支援を続けると共に、民間人が適切な医療を受ける
権利を奪い、人道的な危機を生じさせる医療機関への攻撃を行わないよう
紛争当事者双方に訴えます。
2005年9月25日
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